色々やってみる日記

粘土フィギュアの製作ログ、うつや不安症の話、論文執筆やResearch Studentのあれこれについて。

野焼きしたザンス【日記&写真】

 

サムウェアー県では、半年に一度、不動産会社が「賃貸物件が綺麗に住まわれているかどうか」をチェックしにくるインスペクションという儀式があります*1。インスペクション前はみんなてんやわんや。家をピカピカに磨き上げ、庭の大量の落ち葉や木の枝を掃除する。ヘットへトになるのがインスペクションなのです。

   

明後日にインスペクションを控えた我が家。今日は旧ハウスメイトのアリさんが遊びに来ていました。アリさんは出て行った後も、なぜかインスペクションの前日前々日あたりにふらっとこの家にやって来て、掃除を手伝ってくれます(天使か?????)。

 

わいはみんなとの会話もそこそこに自室で勉強していたんですが、気づけば窓の外を揺れる真っ赤なサムシング…… 焚き火や!!ということで犬のように庭に駆け出して行きました。

 

  

 

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窓の外を覗いてみたら、アリさんが手を振っていた。
 

庭ではアレさんとアリさんが、昔に伐採してカサカサに乾燥した木とか段ボール箱を燃やしていた。わいも1時間ほど、野焼きにお付き合いする(サムウェアー県では野焼きは合法です)。

 

 

 

段ボール箱のシールを剥がし、でっかい椰子の葉を半分に折り、気をつけて火にくべて。あ〜火が怖い。そして臭い。でもなんか楽しい。焼きに焼きまして、納屋いっぱいだった乾燥した枝葉はほとんど全て燃やされて、終わる頃には灰でドラム缶がいっぱい。

 

「もしどこの国でも好きな場所に住めるならどこに住みたい?」

 

「ニュージーランドかタスマニアかなぁ」

 

「田舎に住んで、全てを自活するような生活に憧れる?」

 

「ないでもないけど、わい自然怖いからなぁ。今のこの目の前の火ですら怖いもん。(ああうん、自然に逆襲されるって考えはあるよね。) アレは?」

 

「そうやね、田舎で牧場とかしたさはある。固有種の生態系を復活させていこうって運動とか興味あるよ」

 

「初めてコマーシャルロード(引っ越す前の住所)に来た時、どう思った?ローとかマッさんとか変わってるし、驚いたんじゃない?」

 

「ローやマッさんには驚かんかったけど、サムウェアー県に来て卵にケージドとケージフリーがあるのに驚いた *2。シェアハウスに入ってすぐは、ethically sourcedな食品を買わないとジャッジされちゃうんじゃないかと思ってたな。あと卵買う前に、みんながパック開けて割れてないかチェックするのに驚いた」

 

「サムウェアー人って、みんな野焼きのやり方知ってるん?」

 

「都会の子は知らんよ。アリはガールスカウトしてたし、私は郊外に親が物件持ってたからそこでよくしてたけど」

 

「最近のアカデミアはどんな感じ?」

 

「どこも一緒な気がする、とにかく短いコントラクト以外のポジションがない。まぁ世界的に見てもそうっぽいよね」

 

 

6年以上住んだ街で、ほぼ6年一緒に住んだ人と、火をくべながらそんな会話をたくさんした日になりました。

  

帰国の心の準備は全然できていないけど、なんとなく準備をしようとしている感覚はすごくある(日記エントリが増えているのもそういうことだと思う)。私は1つの場所に定住できないタイプで、15年ほど前からずっと根無し草をしてきたから、別れの経験は普通より多いのかもしれない。井伏鱒二さんが訳した有名な漢詩の「勧酒」。

 

この杯を受けてくれ
どうぞなみなみ注がしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ

 

この言葉が常に頭の片隅にあるような時期が、またやって来たのだ。

 

 

 

この覚えがある、なんともいいがたい感覚。別れを経験するたびに、心に大きなうろができるような感じ。それが痛いとか辛いとか悲しいとかはなく、ただぽっかり穴が空いて、その穴が埋まる頃にはまた場所を飛び出したくなるんだよなあ。一番近いのはノスタルジーという言葉かもしれない。いろんな場所に故郷の支店が増えていって、その場所とそこで出会った人への郷愁と一緒にわいの人生は進んでいくような。

 

というわけで、ちょっとノスタルジーの感じすぎでしゃらくさい日記エントリが増えるかもですごめんなさい。恋してる人が何してもバラ色に見えるような感じで、わいも日常がノスタルジ色なのだ。へけf:id:up-phd:20191115182636p:plain

 

 

 三十にして立つ、の30代にしたいなあ。

 

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灰の量すごない? 

 

 

 

*1:うちの家の場合は、メイク濃いめのイケイケ私仕事できますけど何か系の姉ちゃん(不動産担当者)がIpad片手にやってきて、家の写真を適当に撮りまくって、そのときどき気に食わなかった場所を「あそこどうにかしといてくれる〜?」と言う儀式。前まで直せと言っていたところを次はスルーだったり、今まで何も言わなかった場所を急に直せと言ったり。我が家は昔は完璧主義者の集まりで100点の掃除を目指していたけど、姉ちゃんが読めないので最近てきとーになってきました。

*2:「ケージに入れられている鶏が生んだ卵」と「自由に動き回れる鶏が生んだ卵」が別物として売られている。ケージフリーの方が少し高い。倫理的な意識から我が家ではみんなケージフリーの卵しか買わないので、わいも習慣的にケージフリーしか買わなくなった。