色々やってみる日記

粘土フィギュアの製作ログ、うつや不安症の話、論文執筆やResearch Studentのあれこれについて。

初めてのハウスミーティング【日記&写真】

コンコン、と誰かが戸を叩く音がした。扇風機とyoutubeの合間を縫って、それでもハッキリを聞こえてきた。

 

「Yep! I'm coming, I'm coming! So wait a sec!」

 

開けられたくない。俺の部屋は汚いのだ。いや、現実には汚部屋とかではないが、ちょっとでもごちゃごちゃしているのを見られたくない。幸い、我が家のハウスメイトは礼節をわきまえている人が多いので、勢いでドアを開けたりはしない。

 

自分でドアを開けると、戸の前に薄着のお皿さんがいた。ペラペラのタンクトップにペラペラのショーツ。

 

「言ってたハウスミーティング、今からしようと思うの」

 

りょ。準備はできていたので、お皿さんについてそのまま部屋を出る。

 

てっきりダイニングテーブルでするのかと思いきや、リビングでするらしい。お皿さんは手に瓶の炭酸飲料を、アレはホットのミルクティ。ミーさんも何かコップを持っている。俺も「何か飲むものをとってくる」と告げて、足早にキッチンでインスタントコーヒーとオバルチンのカフェモカを作り戻った。

 

リビングに戻ると、一人がけのソファにミーさんが。二人がけのソファの片側にお皿さんが。なぜか床の上にアレが座っていた。俺はお皿さんをまたいで、彼女の隣に座った。

 

 

 

ハウスミーティング。他人同士が同居するシェアハウスにおいては、よく催されるものだと聞く。家によっては、月に一度の定例ミーティングがあるところもあるらしい。俺とアレとミーさんは2015年からこの家に住んでいて、この前の家でも1年ほど一緒だったけれど、我が家でハウスミーティングが開催されるのはこれが初めてのことだ。

 

誰も話さない。ミーティングだ、そうか、誰か進行役が必要なのか、ということにはたと気づく。アレが口を開いた。

 

「そう、えっと、色々と決めておこうと思うんだ。私とwhatchamaが出て行く日とか、光熱費(bill)の支払いとか、家賃とか敷金とかそういうこと」

 

メモが必要だと思ったので、何も言わずに中座して、コピー用紙とボールペンを掴んで戻る。

 

「あぁ、ありがとう。Minute(議事録)もあるなんて、ようやくプロパーなハウスミーティングになったね」とアレがふざけた。

 

「他に何かあるっけ、えっと、誰かapologies(欠席連絡)は?笑」と私。

 

「ウェンディ(犬)が欠席だわ」とお皿さん。

 

小粋な会議あるあるジョークで、ミーティングはスタートした。

 

 

 

話し合い自体は、そこそこ想定内のことばかりだ。まずは私の退去時期と、アレさんの退去時期について。新しい入居者の候補は何人いて、どんな人たちか。私とアレの大物家具は置いていくので問題ないか。もしhard waste(粗大ゴミ)を今呼ぶ気がないなら、私のhard wasteはガラージに置いたままでいいか。光熱費の支払先はいつ変更するか、名義は誰にするか。アレがどの家電を持って行ってしまうか。ボンド(敷金)の支払いは不動産会社を通して行うものではなく、新しく入ってくる入居者が退去者に直接払う仕組みだとか。リース(賃貸借契約)が切れるのが3月だから、私とアレの名義はそれまで残しておいて、更新しないという方法で切るとか。私のお別れパーティをしてくれるそうなので、その日時とか。

 

こんなに長い間成立し続けるシェアハウスも本当に珍しい、アレさんは私と住み始めるまでは、違うシェアハウスを5つも転々としていたらしい、なんていう雑談も挟みつつ。

 

「ミーさんはいつから海外に行くんだっけ?」

 

「今年の5月から9月までの4ヶ月間。その間は部屋をsublet(又貸し)しようと思ってる、お皿がいいならだけどね。それで、その人に『モルモットのお世話をしてくれたら、家賃お下げします』って条件を出す予定。もしそれでもダメならクランベリーは友人に譲るわ」

 

「お金のない学生とかになら、喜ばれるんじゃない?」

 

『えぇ〜〜ミーさん大雑把〜〜いや、実際は色々と葛藤があってライトな説明に止めているだけかもしれないけど〜〜〜』⇦わいの心の声。

 

 

終始なごやかなムードで、つつがなく全ての話し合いが終わる。誰も去らない。にこにこしながら、沈黙のなかそれぞれがドリンクに口をつけて、また顔を上げてにこにこしている。

 

「なんだか、俺らはハウスミーティングに慣れていないから、終わり方もわからないね」

 

と言うと、みんなが笑った。

 

「じゃあこのminuteはタイプしてみなさんにメールで送付いたしますので」とアレが冗談を言い、

 

「そんな面倒なことしなくても、冷蔵庫に張り出しとけばいいんじゃない?」と私が返すと、ミーさんが「賛成」とつぶやいた。

 

「あーそれにしても今日は暑いわね。病み上がりの人間に、この湿度の高さは耐えられないわ」とミーさんが嫌そうにこぼした。

 

日本人の私からすれば全然湿度が高くない今日。でも他のハウスメイトは耐えがたいほど湿度が高い日だと思っていたらしい。初めてのハウスミーティングは、そんな湿度の夏の午後に開催されました。

 

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